セキュリティ
侵入されたら、復旧より先に保全する
2026年8月17日

レン
侵入された!とりあえずサーバーを作り直して、バックアップから戻せばいいよね!?

プロクラ
待って。その前にやることがある。慌てて作り直すと、大事なものを2つ失うんだ。
守りは「重ねる」のが基本
攻撃
ファイアウォール
不要な入口を塞ぐ
SSH鍵認証
総当たりを無効化
OS更新
既知の穴を埋める
サーバー
1つ破られても次の層で止まる。どれか1つでは不十分
失うもの1:どこから入られたかの手がかり

プロクラ
侵入経路が分からないまま同じ構成で作り直すと、同じ穴からまた入られる。「復旧したのに何度もやられる」というのは、これが原因のことが多いんだ。
失うもの2:いつから侵入されていたかの情報

プロクラ
これが分からないと、どのバックアップが安全か判断できない。侵入後のバックアップから戻したら、侵入者の仕掛けごと復元してしまうからね。

レン
バックアップに混ざってる可能性があるのか…

プロクラ
そう。しかも自動で世代が入れ替わる仕組みだと、安全な世代が消えていくこともある。疑わしいと思った時点で、まずバックアップの自動削除を止めるのも手だよ。
推奨する順番
- 1. 被害の拡大を止める:ネットワークから切り離す、またはファイアウォールで遮断する(電源はすぐ落とさない)
- 2. スナップショットを取る(この時点の状態をまるごと保全する)
- 3. ログ・プロセス一覧・通信状況・ユーザー一覧などを記録する
- 4. 認証情報をすべて変更する。サーバー上に置いていた鍵・APIキーは漏れた前提で無効化する
- 5. 侵入時期の見当をつけ、それより前のバックアップを選ぶ
- 6. できれば復旧ではなく、新しいサーバーへクリーンに再構築する
3で具体的に何を残すか

プロクラ
動いているサーバーの上でしか取れない情報がある。切り離したあと、電源を落とす前に記録しておこう。結果はファイルに書き出して、手元にも落としておくこと。
- 動いているプロセスの一覧(見覚えのない名前が無いか)
- 外部と繋がっている通信の一覧(どこへ繋ぎに行っているか)
- ユーザーの一覧と、最近のログイン履歴
- cron等の定期実行の設定(仕掛けが残されていることが多い)
- SSHの公開鍵ファイル(勝手に鍵を追加されていないか)
- 最近書き換えられたファイルの一覧

レン
電源をすぐ落としちゃダメなの?

プロクラ
落とすとメモリ上の情報が消えるからね。ただ、被害が進行中なら止めることを優先していい。判断に迷うなら、まず通信を遮断する。これなら被害を止めつつ、状態は保てるよ。
認証情報は「漏れた前提」で扱う

プロクラ
4は面倒だけど、いちばん飛ばしてはいけないところだよ。サーバーの中に置いてあったものは、全部見られたと考えるのが安全だ。
- SSHの鍵、サーバーのパスワード
- データベースの接続情報
- 外部サービスのAPIキー・トークン
- 設定ファイルや環境変数に書いていた認証情報
- 同じパスワードを他所でも使っていたなら、そちらも変更する
他人に被害を及ぼしている場合
プロクラ
自分のサーバーが踏み台にされて他所を攻撃している場合は、話が変わる。加害者側になってしまうので、遮断を最優先にしよう。契約している事業者から連絡が来ることもあるし、放置すると利用規約違反で停止されることもあるよ。

プロクラ
それと、預かっている個人情報が漏れた可能性がある場合は、対応が別に必要になる。規模や内容によって求められることが違うので、そこは専門の情報を確認してほしい。

ウィルスン
…ふん。慌てて全部消してしまう者が多いのでな。そうしてくれると、ワタシがどう入ったかは永久に分からないままだ。またすぐ入れる。落ち着いて記録を残す者は、正直に言えばやりにくい。

レン
止める、保全する、記録する、変える。作り直すのは最後なんだね。
あわせて読みたい
- セキュリティそのパスワード、何が守れていないのか:長さ・使い回し・管理ツール複雑さより長さが効く理由、使い回しが一箇所の流出で全部を失わせる仕組み、管理ツールの現実的な使い方と、そもそもパスワードを使わない選択肢を解説します。
- セキュリティ管理画面を守る:2要素認証・コンソール・スナップショットの使いどころサーバー本体だけでなく、管理画面のアカウントも守る必要があります。2要素認証が効く理由と、各社が用意しているコンソール・スナップショットの位置づけを解説します。
- セキュリティコンテナは安全、ではないコンテナは壁が1枚増えるだけで、守ってくれる道具ではありません。権限・イメージの出所・ポートの公開範囲・認証情報の渡し方まで、設定で開く穴を解説します。
- セキュリティ侵入されたサーバーに現れる兆候侵入されたサーバーに現れる兆候を、見る場所4か所に絞って解説します。壊れないまま静かに使われ続ける場合の、分かりにくい兆候まで扱います。